The Whistleblowers(内部告発)#6「環境汚染」
ベンとアリーシャは依頼人と待ち合わせをしていたが、時間になっても相手は現れない。匿名だからと諦めかけていた時、一台のトラックがやって来て廃棄物を不法投棄して去っていった。それと同時に二人の元に「環境局に連絡しろ」というメールが届く。
環境局の調べで、トラックが捨てていったのは危険な有害物質を含むフライアッシュ(飛灰)だとわかる。地元のブルック焼却場のものと思われたが、環境局の担当者プレスは「後は自分たちに任せろ」と言う。その後プレスを尾行していたケニーが、ブルック焼却場の主任リックスと会っているところを目撃。ベンとアリーシャはリックスと接触をするが、彼は最初に二人に連絡したのは自分だと打ち明けたものの、詳しいことは何も話せないと言う。
ガンで余命が少ないことを知らされたリックスは焼却場の危険性を公にすべきか、家族を守るため黙っているかの間で気持ちが揺れていた。かつて妻をガンで亡くし焼却場に抗議を続けていた地元住民のバラスに「あんたが黙っている限り犠牲者は増え続ける」と言われ、リックスはついに事実を公表することを決意。しかしベンに会いに行く途中、彼は車で事故にあってしまう。
バラスの抗議行動を知ったベンは彼とともにガンになった近隣住民から話を聞く。焼却場は病人の多い貧困地域を選んで建設されるため、たとえ焼却場が原因で病気になってもそれを証明できない。初めは調査協力を拒んでいたリックスの妻シボーヌもその後、リックスが焼却場の危険な処置について話していたことや、環境局による抜き打ち検査も実は事前に日時が知らされていたことを証言。しかし焼却場の中に入れない以上、すべてを証明することは不可能だった。
焼却場のことを自分の政策の落ち度にされたくない環境大臣は、かつてブルック焼却場に投資をして儲けたアリーシャの父親をインサイダー取引の容疑で捜査し圧力をかけてくる。またブルック側はベンとアリーシャに対しハラスメント防止法に基づいて焼却場への接近禁止命令を申し立てる。自分たちの事務所の運営資金は焼却場増設の利益によるものであり、父親の自宅の捜索までされたアリーシャは最初はこの事件の真相究明を諦めようとする。しかしベンは大義のためには犠牲も必要で、滅びるならブルックも道連れにすると言って諦めない。迷った末アリーシャも最後まで戦う道を選ぶ。
環境局に立入検査をさせるべくベンは過激な環境保護グループの力を借りることにする。近隣住民を煽って抗議集会に参加させ、マスコミにその様子を報道させることにした。そしてついに環境局を動かすことに成功、立入検査で危険レベルのダイオキシンが排出されていることがわかったブルック焼却場は一時操業を停止。しかし裁判所の禁止命令を無視して集会に参加したベンとアリーシャはその場で逮捕されてしまった…。
ベンの言う「大義のための犠牲」はけして他人であってはいけないわけで、それが自分のことだっていうところが正義感の強さのあらわれだと思う。もちろんそこに至るまでにはさまざまな葛藤があって、それを乗り越えての「負け戦だとわかっていても、戦って負けたい」というアリーシャの言葉には本当に強い決意を感じました。こうした人間的な部分もきちんと描かれているのがこのドラマの素晴らしいところなんですよね。というかSpooksにしてもクリーガンにしてもデクスターにしても、素晴らしいと言われるドラマでは必ず登場人物たちが物事を簡単に割り切るんじゃなく、自分の行くべき道について葛藤する様が描かれていますよね。そしてその結論はそれぞれのドラマによってまったく違っていて、その中でもベンとアリーシャは珍しい“正統派”だった気がします。だからこそ「イギリスドラマにしては誰にでも受け入れられやすい作品」としておすすめしてきたのです。
ちなみにラストはいわゆるクリフハンガー的な終わり方でしたが、シリーズ2製作の予定はございません。
そりゃ、そもそもの資金があれでは……。でもブルックの犠牲になった人たちのためにもベンとアリーシャはこの仕事を続けていくべきだと思うし、いつかフライアッシュの中から見事に復活をした二人の活躍をまた見てみたいものです。
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