女医フォスター シリーズ２（全５話）

　前シリーズのラストで嘘つきのダメ夫サイモンを浮気相手もろとも街から追い出すことに成功したジェマ。
　あれから２年、息子のトムと忙しくも充実した日々を過ごしていたジェマの前に、サイモンが元浮気相手のケイトと共に街に戻ってくる。この２年の間に彼はケイトの父親から貰った金を元手にアメリカの会社に投資して成功し、ケイトとの間に娘も生まれていた。いまだに心の傷が癒えず当時から何も変わっていない自分に対し、裕福な実業家となり高級住宅地に家を買って人生を前進しているサイモンを目の当たりにしたジェマは、サイモンが成功した姿を自分に見せつけるために街に戻ってきたと考える。しかしサイモンはそれだけではなく、不当に復讐された仕返しをするために息子のトムをジェマから奪い、元の家を売りに出してジェマを街から追い出そうとしはじめる。
　ジェマは自分の人生や暮らしを守ろうと必死に対抗するが、そんな中、トムが学校の友人に対して暴力事件を起こしたことで停学となってしまう。自分のことばかりでトムの心を思いやっていなかったことに気付いたジェマは、自分たちの敵対心や嫉妬よりもトムのことを最優先に考えてサイモンと協力し合っていくことにするが……

以下ネタバレ感想

　前回は個人的に清々するラストではありつつ、トムの今後が唯一心配な点だったんですが、そのイヤな予感が的中する展開に…（；ω；）
　サイモンは新しい家でトムとまた一緒に暮らそうとするけれど、彼が暴力沙汰を起こした途端ケイトがトムと同居するのを嫌がったため、トムを突っぱねて追い出してしまいます。そりゃないよね…そもそもジェマへの仕返しっていう自分の都合でトムを同居させたくせに、もうちょっとうまくトムに説明して彼が納得する形でジェマの家に帰す方法が取れなかったんでしょうか。いや無理か、そもそも感情優先で理性は後回し、冷静な話し合いがヘタクソな夫婦だもんね(ﾟｰﾟ;
　憎み合ってるのにお互いを意識して離れられずグチャグチャになってる両親の姿を見ていれば、トムの心だってすさんでいって当然です。それに気付いて、個人の感情を抑えてトムを支えなければと気付いたジェマはまだしも、サイモンはここまできていまだに自分のことしか考えてないんだよなぁ。周囲の人たちはサイモンのよき友人として振る舞っているけど、やっぱりそういうところに気付いていたからこそ、ケイトの両親は新しい家も車もケイトの名義にしておいたし、共同経営者の友人もサイモンがいなくなってもいいような経営体制を整えてたわけだ。
　ケイトはジェマとの泥沼を知っていたからこそ、娘を守るために冷静な判断と行動ができたのかもしれません。そう考えるとジェマより利口な子だよね。ただ、両親にしっかり守られてきちんとした育てられ方をしたケイトと、若い頃に両親を亡くして早く自立するしかなく必死に生きてきたジェマとでは、いくらジェマが頭がいいからっていざという時の判断に違いが出てきて当然なのかもしれません。
　最後の最後にようやくサイモンは自分がカスな人間だってことに気付いたわけだけど、時すでに遅し。両親の関係のせいですっかり傷ついてしまったトムは、停学が解けて学校に戻れることをジェマが知らせる前に姿を消してしまいます。ジェマもサイモンもお互いの人生を理不尽だと考えていたけど、いちばんそう感じていたのは他ならぬトムですよ。昔「ドクター・クイン」のあるエピソードで、「子供に罪は無くても報いは受ける」というセリフがあったけど、まさにトムの人生に当てはまる言葉だと思い出して悲しい気持ちになりました。ジェマはトムのために人生を立て直して待ち続けるけど、きっともう戻ってこないよね……
　復讐なんてものは一時的に気が晴れるだけで、結局誰のためにもならないのだよなぁ。

にほんブログ村