The Crown #1,#2
英国連邦の現役君主であるエリザベス女王2世の若かりし頃を描いたドラマ。今年度のBAFTAテレビ賞でドラマシリーズ部門の最優秀候補とされている作品です。
イギリスの王女エリザベスとの結婚を控え、ギリシャとデンマークの王子フィリップはイギリスに帰化し、エディンバラ公爵となる。国中が祝福ムードに包まれる中、宮廷にも政府にもこの結婚を歓迎するものはひとりもいなかった。
結婚したエリザベスとフィリップは二人の子供に恵まれ、夫の赴任先であるマルタで幸せな日々を送っていた。しかし父親である国王ジョージ6世が体調不良のため手術を受けるという連絡があり、一家は一時イギリスへ帰国することになる。
片方の肺を摘出する手術を受けたジョージ6世は5週間後に公務に復帰。時を同じくして、選挙ではウィンストン・チャーチル率いる保守党が勝利し、チャーチルが再び首相の座に返り咲いた。しかし高齢である彼は政府はおろか内閣の大臣たちからも老害扱い。外務大臣のイーデンは国王に謁見し、チャーチルにそれとなく引退を促すよう国王に求めるが、そのような権限は持たないとして申し出を断られる。そこで国王はイーデンにこう話す「チャーチルはいずれ自ら身を引く。その時が来たら手腕をふるえばいい。準備不足のまま重責を担うと不幸になる」
国王のカルテを手に入れたチャーチルは、彼がガンに冒されていることに気付く。そして国王自身も一向に回復しない自分の体調について主治医に訊ね、余命が数ヶ月かもって数年であることを知らされる。
エリザベスは父の体調が回復したらフィリップのためにマルタに戻ることを望んでいたが、ジョージ6世は間もなく予定されている外遊を自分のかわりに任せたいとエリザベスに告げる。しかし彼女が最初の外遊先であるケニアに滞在中、国王崩御の知らせが首相官邸に飛び込んでくる。王女がニュースで父親の死を知ることだけは避けねばならないとしてチャーチルは報道規制を敷くが、BBCからしつこくせっつかれ、間もなく規制を解除せざるを得なくなる。
ナイロビの総督府からの連絡で父親の死を知ったエリザベスは外遊を中止して帰国することになる。しかし国王崩御により女王という立場になったエリザベスとフィリップの周囲は一変。飛行機を降りる際にフィリップは彼女に寄り添うことも許されなかった。
葬儀を前にエリザベスは祖母メアリーから手紙を受け取る。
「これから父だけでなく今までの自分にも別れを告げることになる。今まで公務と私生活の区別がつかずに駄目になった君主を何人も見てきた。あなたの中でも常にその戦いがあるだろうが、必ず王冠が勝たなくてはならない」
女王となった孫のエリザベスにひざまずくメアリー。しかしベールの奥の眼は、君主という立場を忘れずに生きろと厳しく諭しているようだった。
以下、感想です。
婿殿フィリップ殿下は、思ったことはすぐ口に出すしとにかく言動が子供じみてる。そりゃこんな奴との結婚には賛成できないわな…って思うけど、エリザベスも王女とはいえ若いおなごだから、こういう奔放な男子に惹かれるのも無理はないのかもしれません。
海軍に所属しているにもかかわらず王家の都合で仕事もできなくて退屈な日々を送ってるフィリップも気の毒ではあるが、そこはジョージ6世にこう諭されます。
「公爵という称号は仕事ではない。エリザベスと王家を支え守っていくことが務めであり、それこそが愛国心の最たるものだ」
もともと外国人の彼がこう言われたら従わざるを得ないよね(苦笑) だけどそれもエリザベスを愛しているが故なのでしょう。
若いおなごといえば、エリザベスの妹マーガレット王女は妻子持ちの宮廷付き武官ピーター・タウンゼント大佐と親密な仲。秘密の関係ではあるけれど、実はみんなしっかり気付いてるんだな。
いつの世も使用人たちはゴシップでウサを晴らすものなのです(笑)
エリザベスを演じる女優さんクレア・フォイはどこかで見たことあると思ったらリトル・ドリットだったんだ。フィリップ殿下の叔父マウントバッテン卿がグレッグ・ワイズさんというズルい配役もあり(笑)
しかしなんといってもチャーチルを演じるジョン・リスゴー! なんで??って思ったけど、見事なまでの老害演技が素晴らしいです。ジョージ6世役のジャレッド・ハリスとともにBAFTAの助演男優賞にノミネートされてますが、ここはチャーチルが勝つような気がします(笑)
フィリップとの結婚を周囲に納得させた時点でおばあちゃんはエリザベスの将来の君主としての力量に気付いていたようですが、何の準備もないままある日突然君主になった彼女が今後どのような数々の決断を下し長きに渡って国を統治していくことになるのか。じっくり学んでいきたいと思います。
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