リンリー警部「12年目の決着」
おおっ、あのペンハリガンがついに警視に…!(違)
12年前のある日、リンリーは知人であるオズボーン夫妻の息子ジャスティンの誕生日パーティーに出席していた。しかしジャスティンはパーティの最中に姿を消し、以来ずっと行方不明となっていた。
そして現在。ヘレンを亡くし休職中のリンリーの元にジャスティンと思われる子供の遺体が見つかったという連絡が入る。ジャスティンの死因は頭部の外傷だった。悲しみに暮れる両親、しかし現在ローマにいるジャスティンの姉ジュリアは、ジャスティンの葬儀に出ることをなぜか拒んでいた。
葬儀に出席するようジュリアを説得するためローマへ向かったリンリーは、彼女の部屋に侵入した男と遭遇。取り逃がしてしまったものの、男が滞在しているホテルを突き止め部屋を調べると、そこにはジャスティンの遺体発見の記事が書かれた新聞があった。
以下ネタバレ感想および勝手な蘊蓄
「心理探偵フィッツ」でベックに対し「絶対あんたよりも出世して、いつかあんたをこき使ってやる」と復讐心を燃やし、だけどそれすら叶えることができなかったペンハリガンが、こんな形で警視に出世して登場! キャラ的にもペンハリガンがあれから強く成長して冷静さに磨きをかけた〜って感じで、なんだか確信犯的なキャスティングだぞと思ってしまいました(笑)
さて今回のおぼっちゃま。原題「Limbo」の通り、今ぼっちゃまは身も心もまさに辺土界におられます。セラピーも「やってらんねぇ」(←実際言ってはいないが思っていたに違いない^^;)と途中でほっぽり出し、ヘイバースからの電話もシカト。ヒゲも剃らずに酒を飲んでグダグダに過ごす日々。でも知人の息子であるジャスティンの件を聞いてようやく重い腰を上げ、ジュリアとの関係に慰めを求めたかと思いきや、翌朝彼女の死に関して殺人容疑をかけられてペンハリガン(じゃなくてテイト警視)に締め上げられる。まさに踏んだり蹴ったりでございます…。
ヘレンはある意味、ぼっちゃまにとって手の届かない存在だったように思える。近付けば近付くほどに距離感が増してしまう存在というか。
ヘイバースがぼっちゃまのことを「感情を持つ貴族は初めて」みたいに言ってたけど、上流階級の人は自分の感情をむやみに出さないように育てられるんだろうね(日本の武士と同じ) たとえばぼっちゃまのお母様みたいに、事なかれ主義で俗世離れしていて、見たくないものは見なかったふりをすることも、領地とお屋敷と伝統を守っていくためには必要なことなのだろう。
だけどヘレンはそういう人じゃなかった。彼女は自立していて聡明で、かと思うと女癖の悪い教授と付き合っちゃう過去もある人間味溢れる女性。それはぼっちゃまにとってヘイバースとの出会いとはまた違った意味で特別なものだっただろう。お母様や同僚から「生活に困らない貴族が片手間に趣味や道楽で警官をやってる」と言われるのをぼっちゃまは何よりも嫌っていたはずだし、ヘレンはそんな彼を貴族としてではなく一人の人間として正当に評価できる人だった。きっとお母様みたいなタイプの人との方が、幸せかどうかはさておき安定した結婚生活をぼっちゃまは送れたことだろう。でもお母様とは正反対のタイプだからこそぼっちゃまはヘレンに惹かれ、正反対だからこそ安定感が得られなかったともいえる。ヘレンが問題と向き合いきちんと解決しようとしたことこそが一度目の別れの原因であり、ぼっちゃまが惹かれたヘレンの素晴らしい部分が彼女の死を招く原因となってしまったのは残念でならない。
ヘイバースはそんなぼっちゃまを助けるため、自分にできる最大限のことをしようとします。それはぼっちゃま自身が立ち上がろうと思う時まで「好きにさせておく」こと。同じように妻を亡くしたマイクは「時が解決する」と言ってたけど、今回の事件を見ると必ずしも時間がすべてを解決してくれるとはいえないということがわかる。心を癒すのに必要なのは時間よりむしろ、親切心やアドバイスを押し付けず、でも必要としているときには真っ先に駆けつけてくれて、毒を吐きたい時はちゃんと聞いてくれるヘイバースのような存在なんだと思うよ。
次回はいよいよ最終回。
« 9月のドラマ視聴予定 | Main | イギリスITV秋冬ドラマと日本での放送予定 »
「リンリー警部」カテゴリの記事
- リンリー警部「汝の敵を知れ」(2010.09.19)
- リンリー警部「12年目の決着」(2010.09.12)
- リンリー警部「アリバイ工作」(2010.08.26)
- リンリー警部「裁きの湖水」(2010.08.11)
- リンリー警部「貴族院の闇」(2009.07.01)
Comments
The comments to this entry are closed.
アヤノさん、おはようございます。
見ましたよ・・・。それにペリハリガン様、相変わらず
冷酷なまでの美しさ。あのうすーい唇がなんとも
素敵。フィッツからかなり年月がたっていますが
本当にキレイな方ですよねぇ。
ででで、肝心なリンリンというと今回もトホホ警部じゃぁ
ないですかい。もぉお本当にあんたにゃあきれるぞ。
(パンツ1枚姿にもぽっちゃり感が漂っていたじゃぁないですかい。)
内容は1や2のほうが断然よかったですが、どうしても毎回
見てしまう魅力がリンリンにはあります。
ヘレンとのことなのですが、アヤノさんがおっしゃるとうり
の感がありますよね。
いつもいつも2人の間には硬い壁がありましたね。
冗談を言うときにもこっちがハラハラしてしまう
緊張感がありましたわ。そんなこというたら
ヘレンがキレルぞみたいなね。
女優さんがかわってもイヤミなところは変わらずで
ヘイ子がリンリンに報告とかするときに
『私達の仲が戻ること嫌がってるわね』
とかなんとか言ってたでしょ?
もぉそういう次元の低いことやめましょうよ。教授になったんだし・・・と毎度思ってしまいましたわ。
ヘレンの最期のときにどれだけヘイ子ががんばってくれたことか。だんなは呆然としてるだけなのに・・・
質問なのですが本国でもこの3で終わりなのですか?
あの最終回でおしまい?なんだかとても
悲しい終わり方です。すっきりしないというか
リンリンの今後もはっきりしてなかったし。
アヤノさんいかがなもんなのですか?
Posted by: おくにゃん | September 14, 2010 10:01 am
こんにちは。
Ayanoさんのご想像どおり、お坊ちゃまボロボロでしたね。^^;
>セラピーも「やってらんねぇ」
ははは、私もそう想像しましたよ。
ヘレンとお坊ちゃまはよりを戻してからも見えない壁があるようでしたね。ヘレンもその壁を意識しているから、あのような最期になったのかなと思うと本当に残念です。
事件は興味深かったものの、ジュリアの行動が私は解せませんでした。亡くなったジャスティンを人任せにして、そのままイタリアで暮らしていたなんて・・・。
Posted by: さとうさんた | September 15, 2010 11:21 pm
おくにゃんさん、こんばんは。
ペンハリガンは美しさに加え、冷たさにも磨きをかけて戻ってきましたね。あのまま出世したらきっとこうなってたんだろうな〜。
私もおくにゃんさん同様、1や2の方が好きでした。あの何ともいえない薄暗い雰囲気とか、二人の漫才とか(笑)
新しいエピソードはそういう独特の雰囲気が抜けて、ちょっと万人向けな感じがしました。もっともそこがいい点でもあると思うんですが、個人的に薄暗いドラマが好きなので、どうしても旧作に肩入れしちゃいますね(苦笑)
ヘレンは考えようによってはごく普通の女性ですよね。旦那がいつも仕事にばかり夢中では、その相棒のヘイバースに皮肉のひとつもいいたくなるのも仕方ないのかなって気もします。リンリンも彼女が普通っぽい人だからこそ好きになったと思うし、でも警官としては常時呼び出される立場にあることをもうちょっと理解してほしいっていう気持ちもある。そのへんぼっちゃま自身も混乱してしまったのかもしれませんね。
そんなところがぼっちゃまの魅力なんですけど(笑)
最終回はまだ見てないのですが、今回の放送で番組は終了です。
でも数年経ってから復活する番組もありますし、またいつかリンリー&ヘイバースのコンビにどこかで会えるといいですね^^
Posted by: Ayano | September 16, 2010 02:01 am
さんたさん、こんばんは。
その節は大変お世話になりましたm(_ _)m
ぼっちゃまは何かあるとすぐボロボロになっちゃう人なので、想像するのは容易です(笑)
それにしてもヘイバースの心遣いにもうちょっと気付いてあげてもよさそうなもんですが………そのへんやっぱりヘイバースに比べると子供なんだなぁって思いますね^^;
ジュリアも世捨て人状態になってしまったぼっちゃまと同じで、辛い現実から逃げるためにローマに行ったって感じでしたね。でもそれは何の解決にもならず、やはり大切なのは支えてくれる人が傍にいてくれることなんだなぁと感じさせられました。
Posted by: Ayano | September 16, 2010 02:09 am