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October 15, 2009

第一容疑者・希望のかけら "The Final Act"(後編)

 病院の駐車場で撃たれたオトリーは救命措置を受けるも、そのまま息を引き取ってしまう。ペニーを連れて逃げたカーティスの行方を掴もうと警察は彼の友人に徹底的な尋問を行うが、誰もその居所を知らなかった。しかし隙を見て逃げ出したペニーが父親で校長のフィリップスとテニスンの元を訪れ、カーティスはよく寝泊まりしていた姉のヴァネッサのアパートにいて、姉と姪のデスティニーを監禁して隠れていると言う。警察がヴァネッサの部屋に向かうと発砲音がし、カーティスを撃ったデスティニーが銃を手にして佇んでいた。
 カーティスの身柄は確保されたが、DNA鑑定でサリーの子供の父親はカーティスではないことが判明する。ヴァネッサの家を調べた警察はカーティスが寝泊まりしていた部屋にサリーのものと思われるデイパックを発見。サリーは以前からよくカーティスと部屋に遊びにきていたが、二ヶ月ほど前にフィリップス校長がここを訪れサリーと口論していた。ヴァネッサからそれを聞いたテニスンは、サリーの父が持ってきたバスケットボールの試合のビデオでサリーとフィリップスが親密な仲だったと確信する。

 父アーノルドの葬儀の最中にも仕事の連絡が入り、葬儀の後も酒を飲み過ぎて妹のポーリーンに突っかかるテニスン。足元がおぼつかずまともに歩けない彼女はタクシーでペニーの学校へ向かい、アーノルドの家に連れて行く。自分が生まれ育った部屋でペニーに人生を語りかけるがそこでも酒を手放せず、目が覚めると翌日の朝だった。そしてようやく禁酒会で「自分はアルコール依存症だ」と言葉に出して認めることになる。

 学校へ赴いたテニスンはフィリップスにDNA採取を求める。警察へ向かう車中でフィリップスはサリーと性的関係を持ったことを認め、テニスンは彼を逮捕。しかしそれが信頼していたテニスンの裏切りだと感じたペニーは怒り、アーノルドの家でテニスンから無理矢理酒をすすめられたとトレイナー警部補に嘘をつく。
 フィリップスはサリーの妊娠を知ってはいたものの、殺害に関してはかたくなに否定を続けた。自分にとっての希望の星だったサリーを殺せるはずがないと訴える。彼が殺したという決定的な証拠も無くテニスンは彼を釈放するが、サリーとの関係を知った彼の妻はフィリップスを家から閉め出してしまう。
 テニスンはサリーが発見された公園の沼地へ向かう。サリーの遺体から引きちぎられた十字架のネックレスはいまだに見つかっていない。しかしテニスンは病院の駐車場であった時にペニーがそれを身につけ、カーティスの元から逃げ出してきた時には付けていなかったことを思い出す。病院の監視カメラの映像でペニーがどこかでネックレスと捨てた確証を得たテニスンは、ヴァネッサの団地を徹底的に調べ、下水管の中からついにサリーのネックレスを発見する。
 父親の逮捕の件でからかわれたペニーは同級生を殴って学校を飛び出し、アーノルドの家に入り込む。そこで居合わせたテニスンの姪キャロルを人質にし「テニスンに会わせろ!」と訴える。

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↓以下、感想です(ほとんど論文)

 予想もしなかった結末。ペニーは自分の身を守るとかじゃなく、純粋にテニスンを慕っていた。テニスンもそんな彼女に愛情を与えたかった。だからこそ真実を見抜くことが出来なかった。ペニーがなぜ、どうやってサリーを殺したのか、彼女自身の記憶が抜け落ちていて、劇中でも詳しい説明はほとんど無い。だけどペニーの激高した様子を見ていればその時の光景も目に浮かぶ。したたかな面もありおそらく計画的な犯行だっただろうけど、親友を殺したというショックもまた重くのしかかってくる。事件の時のことはほとんど覚えていないと言う彼女の言葉は本当だったはずだ。

 テニスンとオトリーはもちろん言うことなしですが、不安定な少女の心情をうまく表していたペニーや、娘を失った悲嘆に暮れるサリーの両親。また前作から引き続き登場のシムズ、警視正からテニスンのお目付役を仰せつかった第二のハスコンズさん的存在のトレーナーなど、テニスンをサポートする刑事たちも良かった。そしてお別れ会を準備して一足先に盛り上がってる仲間と、彼らが呼んだストリッパーが警官の衣装を着て署に入っていくのを横目で見ながら静かに去るテニスン。これが彼女の生き様だといわんばかりのラストシーン。本当にこれでひとつの歴史が終わったんだと思うと、見終えた後はしばらく呆然としてしまいました。
 今までを振り返ってみると込み上げてくるものが本当に多いですね。でもテニスンは自分の人生を後悔などしない。いくらキーラ・セジウィックが容疑者の口を割らせようと、どんなにグレン・クローズが冷酷なまでの迫力を見せようと、ジェーン・テニスン警視という生き様を前にしてはその足元にも及ばない…と、私は思ってしまうのです。

 この最終章にはオトリーだけではなくかつての部下たちが顔を出してくれることも期待したんですが、最後だからといって今までのキャストが顔を出す同窓会的な視聴者サービスはこのドラマには必要ないのだとあらためて感じました。どんな展開であれ“最高のもの”を作れば視聴者は必ずついてくる。そしていつも“最高のもの”を見せてくれる、それが「第一容疑者」なのだと。
「第一容疑者」は間違いなく、イギリスのみならず世界中の警察ドラマの最高峰。おそらく90年代以降多くの警察ドラマがこの作品に追いつくことを目標に制作されてきたと思うし、実際このクォリティに迫るドラマが近年相次いで登場しているのも事実。テニスンとの別れはあまりに悲しいけれど、これを超える作品が生み出されることこそドラマファンとしての最大の夢でもあるのです。

 余談ですが、カーティスはSpooksでハリーの家に空き巣に入った天才少年JJだったんですね。結局兄と同じ道を歩んでしまったのか…(違)^^;

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Comments

ジェーンのファンとしては今回のストーリーは残念です。
今までにもストレスも数多く、しかし強い野心を持って「初の女性警視」まで出世したのに最後はアルコール依存症とは‥。あまりに悲しい。家庭を持たず、男性の世界で生きる女性を軽んじてるように感じるのですが。彼女には最後まで強い女性でいてほしかった。
リアリティもドラマを楽しみたいものにとっては、ときにストレスになります。

Posted by: ミセス テリィ | October 15, 2009 at 01:20 PM

ハッピーエンドはありえないドラマだと思っていましたが(苦笑)・・・
なんとも切ない結末でしたね。
日本語タイトルは「希望のかけら」。
それはテニスンにとってのペニー。
フィリップスにとってのサリー。
お父さんにとってのジェーン。
誰もが心に闇を持つ一方、
誰もが必死に救いを求めている。
テニスンが禁酒会に参加したシーンも
ひとつの「希望のかけら」を感じました。

本当に極上の作品でした。
このドラマに出会えたことにとても感謝しています。

Posted by: iku | October 15, 2009 at 02:01 PM

ミセス テリィさん、こんにちは。
そうですねー。でも私には、あの最後は希望あるものに思えましたよ。
テニスンが酒浸りになったのは仕事の重圧や私生活の孤独感からではなく、人生のすべてを捧げてきた仕事をもうすぐ失うという不安や喪失感からだと思うんです。
ペニーに対して見せた愛情こそが本当のテニスンの姿だと私は思ってます。警察の中で生き残っていくためにそれを隠していたというだけのことで、本当のテニスンはアルコールに頼ってしまう弱い面もあり、人に対しての思いやりを持つ普通の女性なんだと。
禁酒会の仲間の「きっかけがなければ立ち直れない」、サリーの両親の「朝起きたら一歩前進、お茶を入れたらもう一歩」という言葉はテニスンにとってとても大切なものになったと思います。今回の事件やオトリーの死がそのきっかけであり、禁酒会でアルコール依存症を認めたことが彼女にとっての大きな一歩。
だからきっとこれからも一歩ずつ前進を続けてくれると思ってます。だって私たちのテニスンですもん!^^

Posted by: Ayano | October 15, 2009 at 04:12 PM

ikuさん、こんにちは。
本当に想像もしなかった切ない結末でした。
最初に邦題が「希望のかけら」と聞いたときはよく意味が分からなかったんですが、見終わってみるとまさにそのタイトルがぴったりでしたね。
再会したばかりのオトリーを失ってしまい、ようやく今までの苦労を分かち合い語り合える同士を得られたと思った矢先の彼の死は、本当に辛いものだと思います。ある意味テニスンのことを家族以上に理解してる人でしたしね。
テニスンの人生を共に見てきたファンとしては、彼女が引退生活の中にも希望を見出しているものと信じています。
本当に素晴らしいの一言に尽きる作品ですね。

Posted by: Ayano | October 15, 2009 at 04:21 PM

はじめまして。
「第一容疑者」で検索していて、こちらにたどり着きました。

私も、かなり熱心な「第一容疑者」ファンであるつもりでしたが、
Ayanoさんの熱のこもったレビュー、うれしく拝見させていただきました。

常に、等身大のリアルな女性像を見せ付けてくれる、このドラマの魅力に、今回の最終回(?)もまた、驚く展開を用意しながらも、
私にとっても、「予想を裏切り期待に応えてくれた」一作だったと感じてます。

打ちひしがれ、そこで立ち止まってしまってもおかしくないような出来事に遭遇した人々にこそ、「希望のかけら」という言葉はふさわしいし、
そこに、人間の弱さと剛さとを、両方感じたりもしました。

サリーの両親の「朝起きたら一歩前進、お茶を入れたらもう一歩」という言葉は、
本当に味わい深く、印象に残りました。

ヘレン・ミレン演ずるテニスンが、
優秀で芯の強い女性ではあるけれど、決して、スーパーマン的に描かれないあたりも、
この手の作品には、なかなか見られない突出した良さに通じているように思います。

女性の社会参画が珍しくなったとはいえ、テニスンの世代までの女性たちに多く垣間見れる、ある種の「頑なさ」、「結婚か仕事か、どちらかしか選べない」という観念的なものの、切なさも描いているようにも見えました。

つらつらと、触発されて、長文になってしまいましたが、
今後も、ちょこちょこお邪魔させていただきます。
過去記事も、楽しみです(笑)

Posted by: シネマで現実逃避 | October 18, 2009 at 05:36 AM

Ayanoさん、こんにちわ。
すごかったです。
断酒会に行き、オトリーの謝罪も受け入れ、父の死に頼ったのはオトリー…と普通のドラマだったら、ここで完全に酒を断ち切りますよね。
そうならずにまた失敗をしていくところに厚みを感じました。
だからこそ、最後の後姿に希望のかけらを見出せるのだと思います。
私、テニスンは好きじゃないのですよ(笑)。
でも「第一容疑者」は大好きというのはおわかりいただけるでしょうか?

Posted by: カクテキ | October 18, 2009 at 11:03 AM

シネマで現実逃避さん
はじめまして。ご来訪ありがとうございます。
質の高さ、ストーリー、いずれも最終回に相応しく素晴らしかったですね。
サリーの両親の言葉には、最も大切なものを失っても人生は続いていく、ならばその中にわずかでも希望を見出して生きていかなければならない…という意味があるように思います。
そのへんがテニスンのこれからに通じるところがありますね。

>決して、スーパーマン的に描かれない
ときおり垣間見られるテニスンの弱い面、そして人間的な思いやり溢れる面に、実は彼女も普通の女性なんだと感じますね。
テニスンはあの時代でなければ生まれなかったキャラクターだと思います。
現在アメリカでリメイクの話が本格化しているようですが、女性が家庭を持ちながら仕事のキャリアを築くことも可能な今のアメリカが舞台では、テニスンという人物を描ききるのは絶対不可能だと思うんです。
ファンとしてはお別れは寂しいけれど、個人的には大満足の“最後の事件”だったので、リメイクせずこれで終わりにしてほしいというのが本音です^^;

それと、過去記事、ロクなこと書いてません…せっかく読んでくださるのに申し訳ないです(土下座)

Posted by: Ayano | October 19, 2009 at 01:16 AM

カクテキさん、こんにちは。
テニスンはけして無敵のかっこいい女性ではないんですよね。
仕事ではあれほどの能力を発揮できるのに、自分のこととなると同じ失敗を繰り返す(今までの男性遍歴に関しても同じ)
そういう人間臭い部分も非常に丁寧に描かれている作品だなと思います。
私もテニスンは長い間あまり好きではありませんでしたよ^^;
なんせ初めてこのドラマを見たNHKでの初放送時('92年!)私もまだ10代でしたからねぇ……(遠い目)
当時テニスンはおっかないおばさんというイメージしかありませんでした^^;
強いと思ってた部分は警察で生き残るためにそう見せてただけ、実は普通の人と変わりないんだとわかるようになってきたのは本当につい最近です。だんだん年齢が近付いてきたという証拠でしょうか…(笑)
もちろん一番のお気に入りはハスコンズさんですが。前編放送前夜は夢にまで出てきましたよ(爆)

Posted by: Ayano | October 19, 2009 at 01:30 AM

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