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April 05, 2005

ERとDixie Chicksの関係

 ドロップアウトといいつつも見た昨夜のER。アビーが出てこなそうってのと、ルカのその後が気になってつい見てしまった。でも正直、見て正解だったかも。最後にルカがカーターにお礼のキスをするシーンは、いいもの見たなって感じ。
 今回はコンゴに残ったルカが遭遇した悲劇と、彼を探すカーターの様子を描いている。どこでもタバコをふかすフランス女はどうも気に入らないのだが、まあそれはおいといて。ルカを探す途中で知り合った赤十字のスタッフの女性が、最後に「趣味のいい人はみんなディクシー・チックスを聴く」とカーターに言うシーンがある。これ、ほとんどの人(日本人)は普通に聞き流したと思うんだけど、実はすごく重要な意味を含んだセリフだと思うのね。Dixie Chicksが好きな人はもちろん、少しでもカントリーミュージックに興味のある人なら、なぜERというドラマの中でこのような悲惨な戦争エピを描く必要があったのか、ということまで読み取れてしまうほど意味のあるセリフです。アメリカに住んでいる人なら間違いなくそれが理解できるだろうけど、カントリーミュージックに馴染みのない日本人にとってはその意味と言われても「??」という人が大多数だと思うので、個人的解釈ながらここで説明したいと思う。
 以前からこのページの右の欄でDixie Chicksの"Travelin' Soldier"という曲を紹介していたので、訪れて下さった方は名前くらいなら何となく記憶してらっしゃるかな?と思う。チャーミングなルックスと確かな音楽性でカントリーチャートでは常に上位を突っ走っている、テキサス出身の女性トリオ。そのDixie Chicksがアフガニスタンへの空爆を始めたブッシュ大統領を「彼と同じテキサス出身であることを恥に思う」と批判したことから、当時テロへの報復ムード一色だったアメリカでは彼女達のCDを捨てたり壊したりという行動が頻発した。これは日本のニュースでも少なからず取り上げられて、山積みにされたDixie ChicksのCDが重機で踏み潰される映像を私も見たけれど、その時は「なんでアメリカの白人ってこんなにバカなんだろう!」って思った。でもって他のカントリーアーティスト達がこぞって「強いアメリカ、正義のアメリカ万歳!」的な曲を出すのを見て、正直カントリーミュージックを聴く自分に嫌気がさしたこともあった。それでもDixie Chicksは自分達の姿勢を保ち続け、リリースする曲は全てチャートの上位にくい込んでくる。おまけにマイケル・ムーア監督が「Dixie Chicksを聴かなくなったらおしまいだ」と発言したりと、Dixie Chicksを支持(つまり戦争に反対)する人たちもいるんだとうことに気付かされた。そんな中で、戦争へ行く兵士とその帰りを待つガールフレンドを歌った"Travelin' Soldier"は、戦争反対を訴える彼女達のまさに代表曲となったのだ。
 こういうバックボーンを知った上で、戦地での「趣味のいい人はみんなディクシー・チックスを聴いてる」というセリフを聞くと、それがいかに意味のあるものかというのがお分かりいただけると思う。そして、今回のERが単なるルカの信仰心復活エピではなく、ERというドラマが番組をあげて戦争反対を訴えているってことが伝わって、がぜんこのエピが深い意味を持ってくるのね。
 アメリカのabcニュースでは毎週イラクで亡くなった兵士の名前を読み上げるけど、これを見てると十代、二十代の若い兵士がほとんどなんだよね。加えて"Travelin' Soldier"なんか聴いちゃうと、戦争ってのは攻撃される国の人はもちろん、そこへ派遣される兵士もボランティアも、また彼らの帰りを待つ家族や友人をも無意味に傷付ける行為なんだって、怒りと悲しみでいっぱいになってしまう。きっとERの製作者側も本当なら舞台をアフガニスタンやイラクにしたかったけど、それだとあまりに直接的(批判も多いだろうし)になるため設定をコンゴの内戦にして、最後にDixie Chicksを持ち出すことで戦争反対を暗に訴えようとしたんじゃないかな。本当に個人的な解釈だけど…。

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Comments

なるほどDixie Chicksってとても意味のある音楽だったんですね。セリフの一つ一つをきちんと理解しなきゃいけないんだな。
カントリーミュージックはまるで疎くて(ヘビメタは強いんですけど…汗)しかしアメリカを知るにはカントリーは不可欠なんでしょうね。とても勉強になりました。

しかし来週はまたアビーなんだよね…かなり憂鬱。

Posted by: がろと | April 05, 2005 at 10:57 PM

そんな、勉強だなんて、とんでもないです〜!
本当に、あくまで私個人の勝手な解釈なんですよ(汗)
でも以前「ER」のスタッフかキャストの誰かが(記憶あやふやでスミマセン)インタビューで「ERは人の命を救うドラマだから、戦争には反対の立場をとっていかなきゃいけない」みたいな話をしていたので、きっとこのエピにそのメッセージが込められてるんだろうなと思いました。
でも来週のエピが「愛しのアビー」
すでに観る気なくしてます…

カントリーは「DR. Quinn」がS5の途中で一度ぶっちぎれた時に寂しさを紛らわすために聴き始めたんですが、おかげでアメリカのドラマが一段と楽しめるようになりました。有名な歌手がドラマにちょこっと顔を出すこととか、結構あるんです☆
ヘビメタも好きですよ♪
昔、Poisonやスキッド・ロウのライヴに行きました!

Posted by: Ayano | April 06, 2005 at 12:17 AM

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